ロボットコラム

空の安全確保への想い

 執筆者:伊藤吉泰(イトウヨシヤス)

カテゴリ : 安全

今回は、「空の安全確保への想い」についてのコラムです。

毎年夏が来るたびに、思い出される航空機災害があります。

1985年8月12日に発生した日本航空123便墜落事故です。お盆の帰省ラッシュ時期でもあり、乗客520名の方が亡くなられるという衝撃的な事故でした。

事故機が大破していることもあり、原因究明は困難でしたが、その後の関係者の詳細な調査により機体後方にある圧力隔壁の破壊から、垂直尾翼の相当部分破壊、油圧操縦系統の喪失にすすみ、操縦不能に陥ったことが判明しました。

さらに調査を進めると、事故機は1978年6月に大阪伊丹空港で尻もち事故(機体後方部分が滑走路と接触)を起こしており、圧力隔壁が破損する事故を経験していることが明らかとなりました。この圧力隔壁の修理の段階で、いくつかのミス(つなぎプレートが正規長さより短いなど)があり、そのミスの重大性が見過ごされたために、衝撃的な墜落事故につながっていったのです。

たとえ小さなミスでもそれが見過ごされ、重なると大きな事故につながる場合があります。日常行われている点検や、メンテナンスの重要性を痛感する事故の調査結果でした。

安全の意識は慣れによって風化しがちです。機体整備上の問題や、航空管制、地上オペレーションなどで少しでも「おや」「おかしいな」と問題を感じた場合は、すぐに、関連部門・上司などに連絡・相談するとともに、その疑問に対応する企業文化の構築が必要と感じます。

その後2004年に、日本航空では羽田に「安全啓発センター」を設置し、事故原因となった圧力隔壁や垂直尾翼などを展示、グループ社員をふくめた安全教育を実施し、安全意識の高揚をすすめています。

また日本航空では、安全をグループ存立の大前提としてとらえ「安全憲章」を制定し、五つの行動目標で具体的に空の安全確保に努めています。「安全憲章」は、航空運輸に限らずほかの業種・企業でも参考になる、きわめて実践的な内容となっています。

日本航空ホームページ:「安全憲章」でアクセス可能ですので、一読をお勧めします。

(本コラムは、日本航空ホームページとウイキペディアから写真を抜粋・掲載しています。)

執筆者プロフィール

伊藤吉泰(イトウヨシヤス)
伊藤吉泰(イトウヨシヤス)本田技研工業OB (北米・中国 現地法人・生産拠点駐在含む)
2021年度より浜松ロボット産業創成研究会のコーディネータに就任。

本田技研工業では海外拠点での生産ラインの企画や立ち上げ業務、国内生産ラインのライン長などを歴任。得意領域は機械安全やロボット安全など労働安全分野、工場動力などでの省エネ/環境対応など。