ロボットコラム

スーパーカミオカンデの紹介

 執筆者:伊藤吉泰(イトウヨシヤス)

カテゴリ : 新技術

いつもコラムのご愛読、ありがとうございます。

皆さん、岐阜県の神岡鉱山跡にある実験施設「スーパーカミオカンデ」をご存じですか?これは宇宙から飛来する素粒子、高エネルギーニュートリノの観測実験施設です。

今回のコラムは、この実験設備のキー技術である光技術に関するコラムです。

~1 ニュートリノとはどんな物質なのか?

ニュートリノは素粒子の一つです。また素粒子とはモノを構成している一番小さい単位です。分子を構成する原子の中の原子核よりも、さらに小さい単位です。私たち人間をはじめすべての物質(動物、植物、鉱物など)は、数種類の素粒子でできています。

~2 なぜニュートリノの観測が重要なのか?

ニュートリノは、宇宙から地球上に無数に降り注いでおり、これをとらえて研究することが物質の成り立ちなどの研究につながるのです。(1秒間に約100兆個のニュートリノが体に降り注いでいる) この施設での実験により「ニュートリノに質量がある」ことが発見され、2015年梶田先生のノーベル賞受賞につながったのです。

~3 ニュートリノ観測装置の概要

観測装置は直径39.3メートル、高さ41.4メートルの円筒形水槽で、5万トンの水を貯えています。周りには1万3000個の光センサーを備えており、神岡鉱山跡の地下1000メートルに設置されています。ニュートリノは宇宙から地球に無数に降り注いでいますが、透過性が高く観測が非常に難しい粒子です。しかしながら、まれにニュートリノが水の分子とぶつかると、微弱な光が発光され、これを観測することで研究が可能となるのです。

~4 キーとなる光電子増倍管技術

水の分子とぶつかり、発光される微弱な光(チェレンコフ光)をとらえるセンサーが、光電子増倍管です。光電子増倍管は、光子1個まで観測可能な高性能の光センサーです。この光センサーを供給しているのが、浜松ホトニクスです。郷土の光技術が、ノーベル賞級の実験研究に大きく寄与しているのです。

浜松ホトニクスの光電子増倍管は、日本だけでなく南極にあるアイスキューブ観測所でも、ニュートリノ観測で活躍しています。郷土の技術が世界的な実験研究の舞台で、活躍しているのは大変誇らしいことだと思います。

コラム写真は、スーパーカミオカンデ、浜松ホトニクスのホームページより掲載しています。また観測施設の詳細情報は、下記よりリンク可能です。

東京大学宇宙線研究所付属神岡宇宙素粒子研究施設 (u-tokyo.ac.jp)

執筆者プロフィール

伊藤吉泰(イトウヨシヤス)
伊藤吉泰(イトウヨシヤス)本田技研工業OB (北米・中国 現地法人・生産拠点駐在含む)
2021年度より浜松ロボット産業創成研究会のコーディネータに就任。

本田技研工業では海外拠点での生産ラインの企画や立ち上げ業務、国内生産ラインのライン長などを歴任。得意領域は機械安全やロボット安全など労働安全分野、工場動力などでの省エネ/環境対応など。