ロボットコラム
いつもコラムのご愛読、ありがとうございます。
読者の皆さんは、もうよくご存じかもしれませんが、今回は「カーボンニュートラル実践」についてのコラムです。
カーボンニュートラルとは地球温暖化の主要な要因となる、温室効果ガス(二酸化炭素など)の排出・発生を抑制し、全体として「0」となることを目指す取り組みです。
私たちの暮らし(生活や仕事、ものづくりの現場)で考えてみると、エネルギー消費を抑えることで、電力会社での、発電時発生の温室効果ガスの発生抑制につながります。
つまり省エネルギー活動が、「カーボンニュートラルの実践」につながってゆくことになります。
温室効果ガス削減の考え方(環境省)
製造現場(生産工場)では、さまざまな機械設備が使用され、膨大なエネルギーが消費されています。なかでも工場エアー動力が占める割合は大きく、工場全体での電力消費の20~25%にもなります。
そのため工場省エネのすすめで、まず工場動力用エアーコンプレッサーの効率化が、優先的に取り組む課題といえると思います。
工場電力の項目別割合
コンプレッサーの効率運用・省エネポイント(取り組みのヒント)をいくつか紹介します。
① 日常の点検:エアー漏れ対策など
工場設備の日常点検でエアー配管のさびや汚れ、ドレン詰まり、バルブの劣化などを点検することは重要です。
しかしながら劣化部分の見逃しで、工場エアーの漏れる箇所がある場合があります。
工場操業時には設備の騒音などで、漏れ音に気づかない場合もあるので、設備停止時に漏れ箇所を特定・対策することで、意外なほどエアー消費量の抑制・電力使用量削減につながります。
② 制御システムとインバータコンプレッサの導入
工場エアーの動力源となるコンプレッサーですが、負荷変動に応じて回転数を制御し、省エネにつなげるインバータ方式のコンプレッサに変更することも効果的です。
また複数台のコンプレッサーを使用する場合は、消費エアー量に応じて最小限のコンプレッサー稼働で省エネを図れる「台数制御システム」も効果があります。この制御システムでは定期的にコンプレッサーを休ませるなど、設備の長寿命化も図れます。
③ 機器の省エネ化:電動アクチュエータなどの導入
ものづくり現場では、製品搬送や組み立て工程などで多数の空圧アクチュエータ(シリンダーなど)が使用されています。このアクチュエータをより省エネ効果の高い電動方式に変更することも重要です。
電動アクチュエータは、一般的な空圧式に比べスムーズな加減速が実現でき、位置決め精度も優れている特徴があります。また電力使用量も空圧式に比べ60%~90%削減可能(使用頻度により変化)という試算結果もあります。
今回は主に、工場エアーの省エネ施策についてでしたが、空調設備フィルタ点検やLED照明の導入など並列的に取り組むことで、さらなる省エネ効果が得られます。
最近時の電力料金の高騰は、「カーボンニュートラルの実践」は「すぐやるべき緊急な経営課題」であると筆者は考えています。
写真は環境省・コベルコ・IAIのホームページから参考引用しています。