ロボットコラム

CES2023が描く電気自動車の未来

 執筆者:伊藤吉泰(イトウヨシヤス)

カテゴリ : 新技術

いつもコラムのご愛読ありがとうございます。

いよいよ2023年が始まりました、早速1月に世界最大級のテック(科学技術)イベントCES2023が米国ラスベガスで開催されました。CESは数年先の未来技術がわかるという                            影響力のあるイベントです。                                                      (CES:世界最大級のデジタル技術・家庭用電化製品などの見本市)

米国をはじめ欧州・アジアなど世界中から様々な未来技術の展示がありましたが、日本からも注目される技術展示がありましたので、紹介したいと思います。

ソニーホンダモビリティから公開された、新ブランドプロトタイプ電気自動車「AFEELA」です。ソニーのエンターテインメント技術とホンダの安全運転技術の融合が期待される技術でした。

「AFEELA」は自動運転レベル3を目指して開発されています。自動運転のレベルは現行自動車並みのレベル0から完全自動運転のレベル5まで6段階が設定されています。                                 レベル2までは運転操作主体が人ですが、レベル3からはシステムが操作主体となり、全く自動化の難易度レベルが異なります。                                                     レベル3実現には相当に高いハードルが存在しており、チャレンジングな目標といえます。                          (レベル3:自動車専用道路(高速道路)など限られた条件下での自動運転の実現)

レベル3を実現するために必要な機能のいくつか(代表的な機能)を紹介します。

1)「高度車線内運転支援機能」                                                     

ハンズオフ(手を離した状態)でも設定した車速を保ちながら、車線中央に沿うように走行可能、先行車がいる場合は、適切な車間距離を保って走行します。カーブ前後ではカーブ曲率を前もって読み取り、加減速を行います。

2)「高度車線変更運転支援機能」

遅い先行車を検知すると、追い越し可能かシステムが判断、可能な場合はシステムがドライバーに追い越しを告知し、ウインカー操作・加減速・ステアリング操作を行い、追い越しと車線復帰を支援します。

3)「ドライバー異常時対応システム」

ドライバーの異常(居眠りなど)時に警告でドライバーへ注意喚起、それでも応じない場合は、ハザードランプ・ホーンで周囲に警告を発しながら、同一車線内で減速・停止を支援、さらにヘルプ通信機能で、関連機関・施設へ通信連絡を行います。

これらの機能の実現には、運転状況の高度なセンシング技術が必要となり、ソニーの持つレンズやカメラ・センサー、画像処理技術と、ホンダの持つ自動運転や安全運転技術の融合が求められるのです。(ちなみに「AFEELA」には45個のカメラ、センサーが搭載されています。)

自動運転技術を備えた電気自動車の実現は、今後のEV進化の方向性を示していると思います。                          このような異業種技術の融合が、技術のブレイクスルーにつながり、さらには日本経済の再生にもつながってゆくと思います。そんな思いを強くした新年でした。

 

写真は、ソニーホンダモビリティのホームページより転載したものです。また「AFEELA」に関する情報は下記のリンクよりお願いします。
https://www.shm-afeela.com/ja/

執筆者プロフィール

伊藤吉泰(イトウヨシヤス)
伊藤吉泰(イトウヨシヤス)本田技研工業OB (北米・中国 現地法人・生産拠点駐在含む)
2021年度より浜松ロボット産業創成研究会のコーディネータに就任。

本田技研工業では海外拠点での生産ラインの企画や立ち上げ業務、国内生産ラインのライン長などを歴任。得意領域は機械安全やロボット安全など労働安全分野、工場動力などでの省エネ/環境対応など。