導入モデル紹介

事例(バリ取り工程) 人とロボットでバリバリッ!とバリ取り

ロボット導入企業
藤本工業株式会社
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ロボットSler
株式会社東洋鐵工所
ロボットの活用が進んでいるのは大手企業の大規模工場というイメージがあるが、ここは一見何の変哲もない郊外の町工場。金属を加工する大きな音が響く工場の一角で、作業する人たちに交じって、ロボットアームが機敏に回転する様子が目に入る。特別大きくはない下請け工場に、どのような過程を経てロボットが導入されたのだろうか。

事例概要

藤本工業では自動車や船外機などに使われるアルミダイカスト製の大物部品のバリ取り作業を主に請け負う。「生産現場のロボット化」と聞くと、人気(ひとけ)が少なく機械だけが動いている工場をイメージするかもしれないが、同社の場合はそうでない。ここでは人が働く製造現場にロボットが入り込み、人と交ざって作業を分担している。

バリ取り工程は、製品の品質を左右する必要不可欠な作業ながら、地味で根気のいる裏方的な仕事。単純労働と思われているが、バリは不規則に発生するため、省人化・自動化が難しい工程だった。

そこで、従来の作業内容を複数の細かい工程に分解し、そのうち自動化できる工程をロボットに割り振った。それにより5人体制だった現場が3人で足りるように。同時にロボットがペースメーカーの役割も果たし、作業時間が一定化。品質や生産数も安定した。

画像処理センサーなどをシステムに組み込むと費用が高額になるが、同社のケースでは、ロボットを簡単な作業に割り振ることで導入費用を抑えている。中小企業にとっての初めての自動化はなるべくシンプルかつ安価なロボットシステムを目指すことが実現の近道だ。
導入背景・課題

自動化が難しい作業

バリは製品に不規則に発生するため、バリ取り作業の自動化が困難。

導入の取り組み

作業の一部分を自動化

大まかなバリ取りまでを機械で行い、仕上げの細かいバリ作業を人が行う。バリ取り作業すべての自動化を目指すのではなく、自動化が可能な作業を見極め、人とロボットで作業を分担することで、ロボットの導入を実現した。

導入効果

生産性の向上

かつて5人の作業者が従事していた工程が、ロボット導入後は3人の配置に変更。結果的にロボットがペースメーカーにもなり、作業時間・品質・生産数が安定した。

労働環境の改善

3K現場と敬遠されがちで人が集まりにくい状況を、作業負荷の軽減により改善。

バリ取り工程のイメージアップ

バリ取りはものづくりの加工現場では必要不可欠の工程ながら、機械加工後の労働集約型作業と考えられきた。 ロボットの導入で注目を集めることで、バリ取りと言う仕事に対するイメージの向上を期待している。

ロボット導入の流れ

STEP1 相談

藤本工業の藤本氏がバリ取り業界のセミナーに参加し、講師を務めていたコンサルタントに自動化について相談。

STEP2 プロジェクトチーム結成

藤本氏と若手従業員2人の計3人が中心となりロボットの導入準備を進める。

STEP3 設置環境の整備

現場の5Sを推進し、工程の流れを把握・分析。

STEP4 1号機導入

コンサルタントを通じた縁で東洋鐵工所との協業が実現。東洋鐵工所が同時期に開発した6軸バリ取り装置の試用・評価を藤本工業が行った。導入1号機はNC工作機械とロボットの中間に位置する装置。

STEP5 2号機導入

1号機の課題点をフィードバックし、改良を施した2号機を導入。

STEP6 ティーチング

操作担当者がティーチングを習得・実施。

企業紹介

ロボット導入企業
藤本工業株式会社

1964年に二輪車のバフ研磨を行う会社として設立。現在はアルミダイカスト部品のバリ取りやバフ研磨、ショットブラストなどを手掛ける。2017年、取引先の大手アルミダイカストメーカーによるQCDA評価において3年連続で約100社中1位を獲得。浜北区新原の本社工場の他、根洗工場、東海工場(豊橋市二川町)がある。従業員50人。

浜松市浜名区新原3453−1
http://www.fujimoto-deburring.co.jp

導入企業 担当者インタビュー

作業の負荷を軽減し、付加価値を高めることが
社員の価値を高めることにつながる
バリ取りの現場は3Kと敬遠されがちで人が集まりにくいのが現状。そこで人材の安定こそが生産と品質の安定につながると考え、作業の負荷を軽減しようと自動化に取り組みました。またロボットの導入によって注目が集まることで、バリ取りの大変さや大切さを認めてもらい、作業の付加価値を高めたい。ひいてはそれが社員の価値を高めることにつながるという思いもありました。

藤本工業株式会社
代表取締役 藤本武洋さん
ロボットSler
株式会社東洋鐵工所

1953年に木型の製造会社として創業。1967年に鉄鋼事業部を設立し、木工機械の設計製造販売を開始。以後、住宅市場向けの木工機械や軽金属加工などの製造販売を手掛ける。2015年にロボティクス事業部を設立しロボット事業に本格参入した。従業員数57人。

浜松市中央区大瀬町460
https://www.toyoiron.co.jp

TAFLINK
https://www.taflink.jp/

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