FAQ

自動化・ロボット導入のよくある質問

FAQ

ロボットシステムの導入は人手不足への対応という観点だけでなく、さまざまな効果をもたらします。その一方で、デメリットにも着目し、各課題に対して適切に対応した上で検討を進めることが重要となります。

<主なメリット>
1.生産工程の自動化・省力化
2.品質の安定化・高精度な加工の実現
3.過酷環境・危険作業からの解放
4.業務の標準化・見える化
5.技術継承、誰でもできる化・人財育成
6.熟練者を高付加価値業務へ移行
7.優秀な人材の確保・採用強化

<主なデメリット>
1.導入コストが高額
2.操作者・管理者の確保が必要
3.作業スペースの確保が必要
4.不具合への対応が困難
5.誤操作による怪我のリスクがある
自動化設備の導入を検討する際、専用機かロボットシステムで悩まれる企業が多いです。それぞれの特徴を以下に示します。対象製品、対象工程により、どちらにするかを選択する必要があります。

<専用機>
対象製品に対して最適化された設備であり、精度やスピードなどの面で高い性能を追及できますが、一般に特注品となるため高額となります。また、作業変更への対応が難しく、対象製品の設計変更やライフサイクルについて導入前に考慮しておく必要があります。(製品の需要リスクに備える必要があります。)

<ロボットシステム>
専用機と比較すると、精度やスピードの面で劣るケースがありますが、多くの場合、専用機よりも低価格で導入可能であり、耐久性や信頼性も高く、作業変更への対応も一定程度は可能です。ロボットが得意とする領域を正確に見定めることができれば、大きな成果をあげることが期待できます。
ロボットシステムインテグレータとは、ロボットを導入しようとする企業に対し、ロボットを使用した機械システムの導入提案や設計、組立などを行う事業者のことを指します。
ロボットを購入しただけでは、生産設備として活用することはできません。ロボットハンドや周辺機器と合わせ、前後工程と同期することで、はじめてシステムとして機能します。その為のシステム企画、設計、開発、構築、導入、保守、運用などを行うことをシステムインテグレーションと呼び、システムインテグレーションを提供する事業者のことをシステムインテグレータと呼びます。

システムインテグレーションのことをSI(エスアイ)、システムインテグレータのことをSIer(エスアイヤー)と略すことがあります。
ロボットティーチングとは、ロボットに動きの指示を教え込むことを指します。
大きく分けると次の3種類があります。(産業用ロボットの仕様により、対応できるものとできないものがあります。)

<オンラインティーチング>
現場で操作端末(ティーチングペンダント)とロボットをオンライン状態で繋げてティーチングをする方法。ティーチングプレイバック方式と呼ぶこともあります。実際にロボットの動作をひとつずつ確認しながら進めるため、正確で緻密なティーチングをすることができますが、ティーチング中は生産を止めなければならない、というデメリットがあります。

<オフラインティーチング>
コンピュータのソフトウェアで産業用ロボット動作用のプログラムを作成し、それをロボットに転送するティーチング方法。シミュレーションをすることで問題点を先に洗い出すことができる、現場での時間短縮ができる等のメリットがあります。

<ダイレクトティーチング>
ロボットのアームを直接持って動かしながら動作を覚えさせるティーチング方法。フィードバック方式ともいいます。最大のメリットは直観的な操作ができる点にあります。
主なロボットの特徴(構造による分類)は以下となります。

<垂直多関節ロボット>
・制御軸数:4~7軸(6軸が主流)
・人間の動きに近く柔軟な構造で汎用性が高く、様々な用途で使用されている
・主な用途 : 塗装、溶接、組立、検査
・メリット : 可動範囲が広い、自由度高、汎用性
・デメリット: 制御が複雑、動作が遅い、価格が高い

<水平多関節(スカラ)ロボット>
・制御軸数:4軸
・腕の水平の動きを模倣した構造
・主な用途 : 移載、組付け
・メリット : 高速、高精度、低価格、スペース小
・デメリット: 垂直方向の動作が苦手

<パラレルリンクロボット>
・制御軸数:4~6軸(6軸が主流)
・複数軸で位置制御・稼働負荷分散
・主な用途 : 組立、移載
・メリット : 超高速・超高精度
・デメリット: 可搬重量が小さい、可動範囲が狭い、天吊で価格が高い

<直交ロボット>
・制御軸数:2~4軸
・XYZの運動機構の組み合わせ構造
・主な用途 : 組立、移載
・メリット : 低価格、シンプル設計
・デメリット: 複雑な動作不可、可動範囲が狭い
ロボットを選定する前に、システム企画・要件定義等を行い、対象工程における最適なシステムの全体像を構想する必要があります。そして、ロボットの可搬重量や動作範囲、位置決め精度、スピード、ティーチング方式、安全面、周辺機器との親和性などの要件を割り出します。その上で、日本やドイツ、中国、台湾などの各メーカーが販売しているロボットのスペック・価格などを把握し、知識と経験から選定する必要があるため、まずは知識や経験を持つ企業や団体に相談をすることをお勧めします。

ロボット導入に関するお問合せ先
https://hama-robo.com/contact/
ロボットシステムを構築するには、生産技術、機械設計、電気設計、ロボット制御、画像処理、システム制御、安全対応、品質保証など幅広い技術知識の習得が必要となり、社内に人材がいることの方が稀ですので、特に問題はありません。

まずは経営戦略として、製造の自動化に関する範囲(どこまでの範囲を自社で担い、どこからを外注するか)を決め、人材育成方針と採用方針を立案することが重要です。その後、自動化に関する社内の担当者を決め、関連知識の習得と自社の工程分析(現状把握)をすることをお勧めします。3~5年後を見据え、本格的にロボット人材を育成する場合には、さまざまな手法がありますのでご相談ください。
ロボットシステムを導入する際には、産業用ロボット本体の費用だけではなく、関連装置や周辺機器、システムインテグレーション費用がかかります。対象工程や仕様により大幅に金額が変わるため、一概には言えませんが、垂直多関節ロボットを1台使用した小規模なロボットシステムであっても、1,000万円以上かかるケースが多いです。大きな投資となる為、綿密な投資回収計画を立てることが重要となります。

1.ロボット本体・・・垂直多関節ロボット、スカラロボット、パラレルリンクロボット、直交ロボット等
2.ロボット関連装置・・・エンドエフェクター(ロボットハンド)、カメラ等
3.周辺装置・・・コンベア、安全柵、その他の周辺装置
4.システムインテグレーション費用・・・構想設計、リスクアセスメント、詳細設計、組立、調整、運搬、その他(安全講習費など)
対象製品や対象工程の範囲により、システムに持たせる機能が変化しますので、投資回収が可能で且つ最小構成となるシステムを検討することが重要です。また、外注するプロセスと社内で対応するプロセスを分け、自社の能力(生産技術能力、プロセスマネジメント能力等)とコストを考慮した上で一部を内製化することを検討することで費用を抑えることが可能となります。

日本や海外のロボット・周辺装置の動向について情報を収集し、自社で活用できないかを日頃から検討することも費用を抑えるコツです。
用途に応じて必要となるスペースは変わりますが、多くの場合、人間が使う場所よりも広範囲な作業スペースの確保が必要となります。特に、自動コンベアやパーツフィーダー、安全柵などを設置する場合は場所の確保が制約となります。また、天井の高さが十分ではなく、導入することができないケースも多々あります。

スペース以外にも電源やエアー配管などの環境を整備しなければならないといった課題があるため、トータルで工場のレイアウトを検討する必要があります。
ロボットシステムインテグレータは、ロボットの効果的な活用方法を提案してくれる頼もしい相談相手ですが、それぞれ得意分野が異なります。また、対象製品や対象工程が曖昧な状態で相談しても、的確な回答を得ることができるとは限りません。

ロボット導入に関する全般的なご相談につきましては、まずは浜松商工会議所までご連絡ください。ロボットシステムインテグレータに繋ぐまでの前工程(対象工程・対象製品の選定、システム企画、要件定義、提案依頼書の作成、補助金の紹介、ロボットシステムインテグレータとのマッチングなど)について、ご支援いたします。

ロボット導入に関するお問合せ先
https://hama-robo.com/contact/
可能です。知識・経験が必要となるため、メーカーや地域の講習会などで操作方法を習得することが必要となります。但し、最近は技術の進展により、ティーチングを簡易化するソフトウェアやロボットのオプション等があり、習得期間が短くてもティーチングができるようになる傾向にあります。特に、協働ロボットを使用したシステムの場合、外部のロボットシステムインテグレータに頼らず、自社でシステムを構築するケースが増えています。

尚、産業用ロボットは、一歩間違えると大きな事故が発生する恐れがあるため、ロボットティーチングをするすべての担当者は、「特別教育」を受けることが法律で規定されています。(労働安全衛生法第59条)
省人化(しょうじんか)とは、設備改善や作業効率化を進めることで人員を減少させることです。ロボットが人間に代わり生産工程を担当することで作業員を減らすことなどが該当します。省力化で0.9人分の作業を減らしたとしても、0.1人分の作業が残れば、その人員を省くことができず、省人化とはなりません。

一方、少人化(しょうにんか)とは、生産量に応じて生産性を落とすことなく何人ででも生産できるラインをつくることで、需要変動にフレキシブルに対応できる、定員化しない方法のことをいいます。例えば、10割の生産を10人で対応する場合、7割の生産ならその必要生産数に応じて7人で対応するラインとなります。

ロボットシステムを導入する際には、省人化と少人化の両方の視点で検討することが大切です。